米SiTime社は、水晶発振器のうち周波数安定性が最も高いOCXO(Oven Controlled Xtal Oscillator)を置き換えられるMEMS(微小電子機械システム)発振器を開発、2017年前半に製品化する。携帯電話基地局や通信基幹網の基準クロック源として使える。MEMS発振器は、安価などの利点がある一方、安定性では水晶発振器に対して劣っていた。SiTime社は、MEMS発振器の最大手で、2015年に同社を買収したメガチップスの子会社である。
開発したMEMS発振器の周波数安定性は、-40~+105℃の動作温度範囲において±0.1ppmと、±数ppmのTCXO(Temperature Compensated Crystal Oscillator)より優れ、±1ppm未満のOCXOに匹敵する。温度変動や振動に対しても安定性が高いという(図1)。温度変化に対する安定性は、1分間に10℃の温度上昇時に±0.001~0.005ppmと水晶発振器よりも優れる。衝撃に対する安定性は、0.0001ppm/gである。
時間的にランダムなばらつきを示すAllan分散は、10秒間で3×10-11と、TCXOよりも10倍安定している。PSNR(電源雑音除去比)は0.2ps/mV。定電圧源のLDOレギュレーターは不要になるという。
発振周波数が1M~60MHzと、60M~220MHzの製品を用意する。