【動向】日清紡のカーボンアロイ触媒、カナダ企業が燃料電池に採用

 日清紡ホールディングス(日清紡HD)は2017年9月13日、同社の白金代替触媒の「カーボンアロイ触媒」が、カナダBallard Power Systems社の燃料電池スタックに採用されたと発表した。固体高分子型燃料電池の電極において非白金触媒が実用化されるのは「世界初」とする。カーボンアロイ触媒はカーボンを主原料とし、白金を一切使用しないことから、燃料電池の大幅なコストダウンが期待できる。日清紡HDは、群馬大学とカーボンアロイ触媒の共同研究を進めるとともに、実用化に向けてBallard社と2013年から共同開発を進めてきた。今回、ポータブル型燃料電池において、白金触媒と同等の発電性能および高い耐久性を得られたため、Ballard社の燃料電池スタックへの採用が決まったという。白金を多量に使用する空気極側にカーボンアロイ触媒を用いることで、Ballard社の燃料電池スタックに使用する白金の使用量を約80%削減可能とする。ただし水素極側には従来の白金触媒を使用する。

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 Ballard社の燃料電池スタックは、2017年12月に発売の予定だ。今後、日清紡グループはポータブル型燃料電池での実績を積むとともに、カーボンアロイ触媒の用途開発を進める。