【技術】自動車ボディーを大幅に軽くする製造システム

 住友重機械工業は、自動車のボディーやフレームなどの車体部品を大幅に軽くできる製造システム「STAF(Steel Tube Air Forming)」を開発した。鋼管をプレス機の金型にセットした後、通電加熱、高圧空気注入、成形、焼き入れの順に加工する。開発した制御システムにより、フランジ付きの連続異形閉断面を高精度に成形加工できる。

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 連続した閉断面構造を成形できるというハイドロフォームの特徴と、鋼板を加熱しプレス成形と同時に焼き入れし1500MPa級の引っ張り強さに加工できるというホットスタンピングの特徴の両方を兼ね備え、強さと剛性が高く軽い閉断面部材を製造できる。

 同じ強度条件のもと、自動車車体の部品をSTAF構造に置き換えた場合、おおよそ30%軽くできる。また、板プレス加工に必要なブランキングやトリミングの必要がなく、成形後に端部を切断するだけで済むため、歩留まりを90%程度まで上げることができる。フランジ付きパイプのため部品点数の削減が可能となり、大幅にコストを下げられる。

 同社は、既に車体部品への適用に向けて大手メーカーと検討を始めた。さらに自動車部品メーカーを含めた顧客へ提案を開始し、2017年度からの商品化を目指している。

【新製品】軟らかさは6倍、復元率は15倍のアクリル微粒子

 積水化成品工業は、既存製品に比べて軟質性と復元性を高めたアクリル微粒子を開発した。光学部材のコーティングや化粧品といった従来の用途に留まらず、電子材料や輸送分野への応用を図るという。

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 新規微粒子は、軟質性と復元性に優れた樹脂を球状化したもの。既存のアクリル微粒子に比べると、約6倍の軟質特性と約15倍の復元率を持つ。ウレタン微粒子と比べても約2倍の復元率を備える。

 新規微粒子を塗料や光学部材のコーティングに用いた場合、衝撃などによるゆがみを受け止めて傷つきにくい塗膜やコーティング層を得られる。自己修復塗料と組み合わせれば、より付加価値の高いコーティング層を実現できるという。化粧品のファンデーションでは、軟らかさを得られる。

 同社は従来、耐候性や耐溶剤性、拡散性などに優れたアクリル微粒子を展開している。近年は、それらの特性に加えて傷つきにくさや軟らかさを持たせた微粒子をカスタマイズ品として提供してきた。しかし、傷を修復する機能やクッション性について要望が高まっていることから、軟質性に加えて復元性にも優れる微粒子を開発した。