英Jaguar Land Rover(JLR)グループは、Land Roverブランドの大型SUV(スポーツ・ユーティリティー・ビークル)「ディスカバリー」を全面改良して日本に導入した。街中での見栄えを意識した外観と、舗装路での走行性能を高めたのが特徴だ。同グループの技術を活用し、ボディーにはアルミニウム(Al)合金を多く使う。改善したポイントを試乗して確かめた。

 初代が登場した1989年から角ばった無骨な外観にこだわってきたディスカバリーが、5代目となる新型でデザインの方向を転換させた(図1)。優れたオフロードでの走行性能は堅持しつつ、外観には丸みを持たせて“都会的”になった。これは、世界的なSUV人気の高まりを受けての判断だろう。

図1 都会的にあか抜けた5代目「ディスカバリー」
図1 都会的にあか抜けた5代目「ディスカバリー」
(a)世代を追うごとに大型化し、新型の車両寸法は全長4970×全幅2000×全高1890mmとなった。価格は779万〜901万円。先代は670万円からだった。(b)角ばった外観デザインの4代目までと異なり、街中での見栄えを意識して丸みを持たせた。
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 街中で使える高級SUVを標榜すべく、新型ディスカバリーは外観以外も大胆に刷新した。その姿勢が最もよく表れているのが、オンロードでの走行性能だ。舗装路でアクセルを踏み込むと、静粛性を確保しつつ軽快に走り抜けたのが印象的だった。

 軽快な走りの実現を支えたのが、JLRグループの技術資産だ。かつて4輪駆動車の専業メーカーだった英Land Rover社は2008年に、英Jaguar社と共にインドTata Motors社の傘下に収まった。JLRグループとして一体運営が進み、Land RoverとJaguarという二つのブランドでの技術の共用が本格的に動き出した。2009年発売の先代(4代目)ディスカバリーはJLRグループ設立前から開発されてきたもの。このため今回の5代目が、JLRグループとして全面改良に取り組んだ、最初のディスカバリーとなる。