ドイツPorsche社は、2座のオープンスポーツカー「ボクスター」を大幅改良し、日本で2016年6月末から出荷する(図1)。新開発した水平対向ガソリンエンジンは気筒数を従来の6から4に減らし、排気量を小さくした(図2)。併せて自然吸気ではなく過給にする。高性能車の代名詞と言える「Porsche」でも、CO2排出量削減に力を注がねばならなくなっている。
車名を少し変え、「718ボクスター」とした。「718」は、1950年代に開発した4気筒エンジンを搭載する競技車名。新型の名称に718を加えて歴史的な意義を強調し、気筒数を減らしたことに伴って顧客に「性能が下がった」とみられる懸念を抑える狙いがありそうだ。
これまで、6気筒で排気量が2.7Lと3.4Lの自然吸気ガソリンエンジンを搭載していた。新型で4気筒に減らして過給器を搭載し、排気量を2.0Lと2.5Lに小さくする。機械損失を抑えられる。エンジン単体のCO2排出量は従来品に比べて、2.0L搭載の標準モデルで13%、2.5L搭載の高性能版「718ボクスターS」で11%減った。「欧州では燃費規制として2021年にCO2排出量95g/kmが課せられている。Porsche社は、今回のようなダウンサイジングエンジンやプラグインハイブリッド車の投入で環境性能を高めていく」(ポルシェジャパン社長の七五三木敏幸氏)。