米国が「前例のない」自動運転車の指針

米運輸省(DOT) 長官のAnthony Foxx氏
米運輸省(DOT) 長官のAnthony Foxx氏

 「自動運転車は多数の命を救う潜在性を秘めている。今回の指針はこの利点を強める前例のないものだ」。米運輸省(DOT)は2016年9月19日、自動運転車に関する連邦指針を発表し、同省長官のAnthony Foxx氏はこう強調した。同指針は、少なくとも一定条件下で完全自律走行する高度な自動運転車を主な対象にしている。

 メーカーや開発者などに向けて自動運転車の安全な設計、開発、試験、導入に関する15の査定項目を設けた他、州政府に対して高度な自動運転技術の試験および導入に関する法規制の推奨モデルを示した。15項目の中には、「接近してくる対象物をどう検知し、対応するか」「ソフトウエアに不具合が生じた場合、システムはどう反応するか」「路上での倫理的なジレンマに対応するためにどうプログラムされているか」といった内容が含まれる。

 今回の指針を機に、米国内で州ごとにばらばらだった基準を一本化する考え。さらに、米国は自動運転車開発で主導権を握りたい思惑もある。自動運転技術の早期実用化に向けては、同年9月24日に長野県で開催された主要7カ国(G7)の交通相会合でも議論。だが、日本や欧州と安全基準の考え方に溝があり、足並みが揃わなかった。