FPGAがコンピューティングの主役になる時代が迫っている。それを促すのが、ビックデータ解析や機械学習といった大規模なデータ処理が必要な用途の急拡大である。マイクロプロセッサーよりも高い演算性能を実現でき、GPUなどの競合技術と比べて利点が多いFPGAが本命に浮上した。
2015年、半導体産業の将来を左右する巨大な地殻変動が起こった。マイクロプロセッサー大手が次々にFPGA†メーカーの囲い込みに走ったのである(図1)。米Intel社は2015年6月、大手FPGAメーカーの米Altera社を買収すると発表。米Qualcomm社は2015年10月、米IBM社は同11月に相次いでFPGA最大手の米Xilinx社と戦略的提携関係を結んだ。Xilinx社は「IBM社とは、単なる製品や技術の提供側と顧客側という関係を超えて、密接なパートナーになった」(Xilinx社 Vice President, Wired Communications and Data Center Communications Business UnitのHermant Dhulla氏)と語る(FPGAの概要とマイクロプロセッサーとの歴史的関係は、別掲記事を参照)。
各社が注目するのはFPGA市場の将来性である。Intel社が買収に費やす金額が期待の高さを反映している。実に167億米ドル(約2兆円)と、同社の2014年度の売上高の約3割に当たり、Altera社の同年度の純利益の35年分にも相当する額だ。