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日経Automotive 2017年1月号

軽くならない車両に挑むPart1 悪循環からの脱却

仮想車体で構造材を減らす

  • 富岡恒憲
  • 2016/12/12 00:01
  • 1/9ページ

出典:日経Automotive、2017年1月号、pp.38-43(記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります)

2020年代の自動車の車体はどう進化していくのか-。
その一つのカギを握るのが、なかなか軽くならない車両への挑戦だ。
そして、それに向けた取り組みとして自動車メーカーが力を注ぐのが、「仮想車体」「アルミニウム(Al)合金の採用拡大」「炭素繊維強化樹脂(CFRP)の使いこなし」の三つだ(図1)。

図1 軽量化の三つの方向性
「仮想車体」とは、物理的な車体よりも大きめの仮想的な車体を電気的な衝撃吸収ゾーンとして設定し、仮想的な車体への衝突を検知したときに、衝突の被害を軽減するアクションを取るというコンセプト。ドイツDaimler社が提唱している。
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 「従来の延長線ではない革新が求められている」。こう語るのは自動車メーカーのある技術者だ。背後にあるのは、燃費・二酸化炭素(CO2)排出規制の強化。欧州では、2021年にCO2排出量の基準値を現状の130g/kmから95g/kmに引き下げ、2025年にはさらに68~78g/kmに引き下げることを検討中。米国では、企業平均燃費(CAFE)を2017年の41.4mpg(132g/km)から2025年の61.4mpg(89g/km)へと年率5%で引き上げていく計画だ(図2)。

図2 日米欧中の乗用車における燃費・CO2排出規制の強化の動き
欧州では2021年に、CO2排出量の基準値を95g/kmに強化、2025年にはさらに68~78g/kmに引き下げることを検討中。米国は、企業平均燃費(CAFE)を2017年の41.4mpg(132g/km)から2025年の61.4mpg(89g/km)へと年率5%で引き上げていく。
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 こうした背景から、多くの自動車メーカーが打ち出しているのが電動車両の比率の向上。ただ、これだけで厳しさを増す同規制をクリアできる保証はない。電動車両を選ぶか否かは、消費者の判断に委ねられているからだ。

 そこで重要性が高まってくるのが、パワートレーンの効率化と車両の軽量化だ。アーサー・D・リトルの報告書「車体軽量化に関わる構造技術、構造材料に関する課題と開発指針の検討」によれば、ガソリン車の走行時のエネルギーは、パワートレーンで75%、走行抵抗として25%消費される。走行抵抗は空気抵抗、加速抵抗、転がり抵抗、勾配抵抗の総和で、空気抵抗以外は車両質量に比例する。

 実際、自動車メーカー各社は、車体を軽くする努力を続けてきた。ただ、現実は厳しい。前述の技術者によれば、近年のクルマは総じて車両としては軽くなっていない。車体を軽量化しても、強化される衝突安全基準・アセスメントへの対応や先進機能(電動化や高度運転支援システム、車載情報機器など)の追加で、その分を食いつぶしてしまうという悪循環があるからだ。

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