「ゼロ戦」を三菱重工業よりも多く製造した会社──。「レガシィ」「インプレッサ」などの自動車メーカーとして知られる富士重工業(以下、富士重工)には、もう1つの顔がある。航空機・航空部品メーカーとしての顔だ*1

*1 富士重工業の前身である中島飛行機は、三菱重工業が開発したゼロ戦全体の2/3を生産した。さらに中島飛行機は、ゼロ戦のエンジンである「栄(さかえ)」に加えて、戦闘機の「隼(はやぶさ)」「疾風(はやて)」なども開発し、戦中までは東洋最大の航空機メーカーとして知られた。

 防衛省向けでは練習機「T-1」「T-5」の開発・生産に加えて、戦闘ヘリの「AH-64D」のライセンス生産も手がける。だが、成長をけん引するのは民間向けで、とりわけ米Boeing社の航空機向け部品の事業が拡大している。