「ものづくりの道に入ったのは『ガンダム』を造りたかったから」。こう語るのは、OCASILA(本社東京)代表取締役社長の緑川賢治氏。同氏が中心となって2015年6月に立ち上げた「全日本製造業活性化計画(JMRP)」は、この思いに通じる取り組みである。ロボットアニメ「機動戦士ガンダム」のメカニックデザイナーとして知られる大河原邦男氏がデザインしたオリジナルロボット「イグザイン」をコアコンテンツとして、さまざまな中小製造業が製品化を目指せるからだ(図1)。

図1 オリジナルロボット「イグザイン」のデザインデータと大河原邦男氏
図1 オリジナルロボット「イグザイン」のデザインデータと大河原邦男氏
JMRPは大河原氏から「イグザイン」のデザインに関する著作権譲渡を受け、これをベースとした中小製造業によるさまざまな製品化プロジェクトを展開している。
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頓挫したプロジェクト

 緑川氏と大河原氏の出会いは2009年2月にさかのぼる。大河原氏が顧客として、緑川氏が代表取締役を務めるミナロ(本社横浜市)にケミカルウッドを発注したのがきっかけだ*1。「最初は、あの大河原氏とは気が付かなかった」(緑川氏)が、発注元の住所を見るとどうやら“あの”大河原氏らしい。品物に手紙をつけて納品したら、「ありがとう」という返信。その後も何回かケミカルウッドの注文を受けて関係は続いた。

*1 ミナロの設立は2002年。前身は木型製作所。モックアップや木型モデルの加工、治具製作のほかケミカルウッドの販売も手掛ける。