エッジコンピューティングを今後大規模に展開するために、避けて通れないのが管理性の向上と、エッジノードの高性能化・省電力化だ。それぞれの課題に対して、各社は独自の取り組みを始めている。管理性を向上させる仕組みは、いずれは移動通信システムや産業用IoT などの枠組みの中で標準化されていくとみられる。

 今後、エッジコンピューティングを大規模に展開するためには、大きな課題が2つある。「管理性の向上」と「高性能化・省電力化」だ(図1)。

図1 管理性向上と高性能化・省電力化が課題
図1 管理性向上と高性能化・省電力化が課題
エッジコンピューティングを今後、広く展開していくためには、エッジノードのアプリケーションソフトを開発したり、エッジノードとクラウドの連携を設計したりする開発ツールや、アプリ配置/アップデートなどを可能にする管理機能が必要になる。加えて、エッジノードには高性能かつ省電力であることが求められる。エッジノードが蓄電池によって駆動する環境に置かれる可能性があるからだ。
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 管理性の向上とは、エッジコンピューティング用のノード(エッジノードあるいはエッジサーバー)で処理を行うプログラムを必要に応じて投入したり、複数のノードやクラウドを連携させたり、ノードを監視したりする機能の整備のこと。エッジコンピューティングでは、クラウドサーバーとエッジサーバー、複数のエッジサーバー、端末とエッジサーバーが連携するシナリオが想定される。これらで動作するアプリケーションソフトウエアを、あたかも指揮者がタクトを振るように管理できる仕組みが必要だ。

 一方の高性能化・省電力化は、スマホなど既存のエッジ端末以上に厳しい目標の実現が求められる。エッジノードでは、これまでクラウド側で扱ってきた映像や音声など大量のデータを処理する必要がある。一方で、設置場所や用途によっては必ずしも系統電源からの電力供給を受けられない。エッジコンピューティングが普及すれば、大量のコンピューターが分散配置されるため、たとえ系統電源を使えるとしても、総電力量を減らす努力が必要だ。厳しい要求に応えるため、脳型チップなど新規のハードウエアの活用も検討されている。

 以下では、この2点に向けた各社の取り組みを見ていく。