スマートフォン市場の成長が鈍化する中、新たな成長分野の模索が本格化している。エレクトロニクス技術の適用範囲が広がり新市場も見えてきた。本誌やニュース配信サービス「NE ニュース」の読者に電子産業の将来を聞いた。

 電子産業の次の成長を牽引する「ポストスマートフォン」は何か─。こう言われて久しいが、未だに見つかっていないのが現状だろう。調査会社の米IDC社は、2015年のスマートフォンの世界出荷台数は前年比11.3%増加すると予想していたが、2015年8月に増加率を10.4%に下方修正した。インドなどの市場は引き続き成長するが、世界最大の市場である中国が成熟段階に到達しており、2014年に19.7%だった出荷台数の増加率が2015年は1.2%にとどまるという。スマートフォン市場の鈍化がはっきりした今、新たな牽引役が切望されている。

 そこで今回、本誌やニュース配信サービス「NEニュース」の読者を対象に電子産業の未来についてアンケートで聞いた(調査概要を参照)。まず、新たなジャンルの機器や新技術のうち今後10年で大きな市場になりそうなものを尋ねたところ、高い割合を占めたのが「サービスロボット(ドローンを含む)」と「ウエアラブル機器」だ。いずれも約50%の回答者が選択した(図1)。サービスロボットは、日本ではソフトバンクが2015年6月に「Pepper」を発売したのをきっかけに、活用に向けた動きが本格化している。銀行や住宅展示場、地方自治体などでPepperの採用が始まった他、医療や物流の分野でも搬送ロボットの導入が相次いている。2015年7月には長崎県のハウステンボスで、受け付けや荷物搬送の業務をロボットで自動化するホテルが開業した。

図1 ウエアラブル機器やロボットに高い期待
図1 ウエアラブル機器やロボットに高い期待
新たなジャンルの機器や新技術のうち今後10年で大きな市場になるものを聞いたところ(複数回答)、約半数がサービスロボットやウエアラブル機器の市場が拡大すると答えた。また、人工知能関連技術や3Dプリンターと答えた割合も高かった。(図:本誌のアンケートを基に作成。調査概要を参照
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