図は、油量(オイル)コントロールバルブ。自動車のエンジンを構成する部品の1つだ。具体的には、吸気バルブと排気バルブのタイミングを調節する可変バルブタイミング機構を動かす油圧制御用ソレノイドバルブの部品である。

図 油量コントロールバルブ
図 油量コントロールバルブ
自動車エンジンを構成する部品の1つ。手前の黒色の製品が、樹脂で造った油量コントロールバルブ。奥のアルミ合金製品に比べて質量を50%軽くした。
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 エンジン部品なので高い耐熱性が必要だ。そのため、一般にはアルミニウム合金製品が使われている(図の奥)。これを軽くするために樹脂化したのが、図の手前に見える黒色の製品だ。住友化学が、ある自動車部品メーカーと共同で開発した。

 樹脂化によって質量を従来品に比べて50%と大幅に軽くできた。だが、それ以上に驚くのは、この油量コントロールバルブが既に実用化されていることだ。住友化学は具体的な車種名を明かさないが、2015年10月に量産を開始したクルマに搭載されており、そのクルマは世界を走行しているという。

 高い耐熱性を備え、金属を代替できる樹脂と言えば、ポリアミド(PA)6やPA66、ポリフェニレンスルフィド(PPS)が一般的だ。PA6やPA66はエンジンカバーや吸気マニホールドなどに、PPSは電子制御ユニット(ECU)カバーなどに使われている。いずれも金属を置き換えることで軽量化をもたらしている。