船舶用プロペラで世界シェアの3割を握るナカシマプロペラ。同社は炭素繊維強化樹脂(CFRP)を用いることで、プロペラの軽量化を進めている(図1)。

図1 CFRP製ブレード
図1 CFRP製ブレード
直径が4.2mのプロペラに向けたCFRP製ブレード。このブレードを用いた製品はまだ受注していないというが、今後採用を目指していく。
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 現在、船舶用プロペラは主に銅合金製である。一方、同社はプロペラの一部であるブレードの素材をCFRPに変えることで、プロペラ全体の質量をおよそ50%も軽くした*1。船舶用プロペラにCFRPを用いたことで船の燃費は向上。中には燃費が最大で9%改善した船もあるという。その他に軽量のCFRP製ブレードは水中で回転しても船の振動が起こりにくく騒音や揺れを軽減できるため、船の静穏性や居住性が高まるといった利点もある。

*1 CFRPは銅合金と比較すると比重がおよそ1/5である。

 2016年10月には、従来製造してきた直径2.1mのCFRP製プロペラより大きい直径2.7mの製品が船に搭載される予定である。この船の全長はおよそ70m、国内総トン数*2はおよそ749G/Tになる*3

*2 総トン数 船の容積を示す指標。

*3 同社は直径4.2mのプロペラも製造することができるが、まだ実際に採用されていない。採用されるとすれば、全長はおよそ120m、国内総トン数はおよそ5000G/Tくらいの船になる可能性がある。