どんなに高性能な機械でも、利用者の使い勝手がよくないと価値は半減してしまう──。

 産業機器のユーザー体験(User Experience=UX)を向上させることに対する関心が高まっている。いわゆる使い勝手だ。これまでも消費者向けの機器では、利用者の使い勝手の改善が競争力のカギとなることは指摘されてきた。

 例えば、米Apple社の「iPhone」や「iPad」は、画面を操作する際の感触や、本体の持ちやすさ、アプリケーションソフトウエアの起動スピードといった、利用者の直感に訴える操作しやすい設計が、人気を支えてきた。

 だが、発電用タービンや航空機エンジンに代表される産業機器の開発サイクルは消費者向け機器よりもずっと長い。いったん購入すると10年単位で使用されることも珍しくない。このため使い勝手の改善は、頻繁に新製品が登場する消費者向けの機器ほどスピードが速くなく、従来の製品の延長線上で少しずつ改良されるケースが一般的だった。

 そんな中で、米General Electric社(以下、GE社)は産業機器の使い勝手に目を向け、そのユーザー体験を向上させることに力を注いでいる。