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電気二重層キャパシターを活用
マツダの減速エネルギー回生システムであるi-ELOOPは、Liイオン電池ではなく日本ケミコンの電気二重層キャパシター(EDLC:Electric Double Layer Capacitor)†を用いている。その作動概容を図7に示す。
減速時には、回生により発電した電力でEDLCを充電する。この電力はDC-DC変換器を介して、鉛蓄電池にも供給される。加速時や通常走行時にはオルタネーターを休止させて発電によるエンジン負荷をなくし、電装品への給電はDC-DC変換器経由でEDLCから行う。
注目技術の1つはEDLCで、14Vから25Vまでの充電時間はわずかに約8秒と短い。この短時間の回生により、40A/14V(560W)の場合で電装品に約1分間の電力供給ができる。容量は10.4Ah(37.5kJ)と小さく、プリウスの約0.8%、エネチャージの3割ほどである。しかし、ごく短時間で充電できるために、「1回の減速で急速に電力を蓄積して給電、また次の減速で充電…」というサイクルで用いることにより、十分な能力を発揮する。
なお、EDLCはコンデンサーであるため、通常の電池とは異なり、放電時には電圧が大幅に低下する。この状態からの充放電を繰り返すことになるため、オルタネーターには電圧をある範囲内(i-ELOOPでは12~25V)で上下できる特殊な可変電圧オルタネーターが用いられている。
もう1つの注目技術はDC-DC変換器で、降圧型コンバーターを4相のマルチフェーズに並列したものが採用されている(図8)。多相化することで大電流に対応できるほか、ノイズも低減できる。このDC-DC変換器の効率化は非常に重要なテーマであり、回を改めて述べる予定である。