主に「対象が何であるか」を検知するのに使われるカメラ。画像認識に使われるCMOSイメージセンサーは、暗い所でも対象を認識できる感度向上が進むほか、画素数も130万画素から、2018年頃には200万画素を超えそうだ。2020年以降には、ダイナミックレンジ向上技術によって、700万画素以上の高精細化が可能になるだろう。

 現在、車載用で実用化されているカメラには単眼カメラとステレオカメラがある〔図1(a)(b)〕。単眼カメラは、現在はその物体が何であるか、というのを検知するために使われる場合がほとんどだが、中には単眼カメラのみで物体との距離を測定し、自動ブレーキ機能を実現している日産自動車の「エマージェンシーブレーキ」のような例もある。

図1 車載カメラの種類
図1 車載カメラの種類
(a)ドイツBosch社の単眼カメラ、(b)スズキが採用したステレオカメラ、(c)ZF TRWの3眼カメラ。Mobileye社の技術を採用。
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 ステレオカメラは「その物体が何か」ということだけでなく、三角測量の原理を使い、比較的精度よく対象物との距離を検知することができるのが特徴だ。富士重工業のステレオカメラを使ったADAS( 先進運転支援システム)「Eyesight(アイサイト)」は、レーダーとの組み合わせなしに、高い速度域まで動作する自動ブレーキ機能を実現しており、同社が交通事故総合分析センター(ITARDA)のデータを基に分析した結果では、車両1万台当たりの事故件数で、同機能の搭載車は車両同士の追突事故で約8割、対歩行者事故で約5割減ることが分かったという。

 ステレオカメラは、左右のカメラの取り付けに高い精度が要求されることや、画像処理が複雑であることからコストが高いことが課題の一つだったが、最近では低コスト化も進んでいる。スズキはステレオカメラを使ったADASを「デュアルカメラブレーキサポート」として商品化しているが、オプション価格は実質5万円程度で、アイサイトの約半額である。