自動運転技術に欠かせない、人工知能(AI)の一種であるディープラーニング(深層学習)。同アルゴリズムを実行するAIコンピューターの開発を巡り、三つの勢力が競い合う構図が見えてきた(図1)。主役に立つ米NVIDIA社の連合を、半導体最大手の米Intel社が猛追する。日本からはトヨタグループに東芝を加えた連合が追いかける。
2017年3月、Intel社が自動ブレーキの画像認識に強いイスラエルMobileye社を約153億ドル(1ドル=115円換算で約1兆7600億円)の巨額で買収すると発表した(図2)。NVIDIA社の最大の競合企業になり得るのがMobileye社。深層学習用の車載コンピューターの開発でNVIDIA社に出遅れたIntel社だが、Mobileye社の買収で巻き返す。
Intel社は最近、自動運転の技術開発に力を注いでいる。2017年1月に、自動運転技術の開発基盤「Intel Go」を発表した。Mobileye社の買収で、自動運転の基礎技術である自動ブレーキに使える信頼性の高い画像認識技術を手中に収める。
加えて、Mobileye社が勝ち取ってきた20社以上に上る多くの自動車メーカーへの採用実績を得られることが大きい。NVIDIA社にはないからだ。同社はメーターなどの情報端末装置への採用は多いが、高い信頼性がいる制御系機能への採用はこれからと言える。