メカニズム詳解
目次
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互い違いの溝でボールを位置決め
第12回:損失トルクの少ない等速ジョイント
NTNはSUV(スポーツ・ユーティリティー・ビークル)などに向く等速ジョイント(Constant Velocity Joint)である「CFJ」を開発した(図1)。ジョイントを大きく折り曲げてもトルク損失率が高くならない。等速ジョイント内部のボールを位置決めする方法を根本から変えることで実現した。日経Automotive
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機能を「スライド」と「固定」に分ける
第11回:シートのスライド機構
トヨタ車体精工は新しいシートのスライド機構「LSR(Loose-less Smooth-slide Rail)」を開発した(図1)。「軽く滑らかに動くこと」と「ガタなくしっかり固定すること」を両立させることで、3列シート車の商品性を向上させた。既に国産車、海外生産車向けに納入が始まった。日経Automotive
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低温時の引きずりトルクを減らす
第10回:4WD車用カップリング
4輪駆動(4WD)車のプロペラシャフトに取り付ける電子制御カップリング。最大の問題は低温で油の粘度が上がることによる引きずりトルクだ。意図したより大きなトルクを伝えると、駆動装置を大きく重く設計する必要がある。ジェイテクトは油の挙動を制御する機構を開発して解決した。日経Automotive
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踏めばブレーキ、傾ければアクセル
第9回:ブレーキ・アクセル兼用ペダル
ナルセ機材はアクセルとブレーキを兼ねたペダル「ワンペダル」を開発した。新車に装着する純正部品ではなく、手持ちのクルマに後付けする。アクセルとブレーキの踏み間違いを防げるほか、踏み替えに必要な時間もなくせる。日経Automotive
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非対称にして過圧縮を減らす
第8回:エアコン用コンプレッサー
カルソニックカンセイは圧縮室を2室から1室に減らした空調用のロータリー式コンプレッサーを開発した(図1)。高回転での効率を下げる原因である過圧縮を抑える。効率をスクロール式よりも高くできる。高速回転させる頻度の高い電動コンプレッサーに向く。日経Automotive
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平行四辺形リンクで車体を傾ける
第7回:3輪スクーター
ヤマハ発動機の3輪スクーター「トリシティ」。2個ある前輪を平行四辺形のリンクで支えることにより、極めて長い動作ストロークを実現した。2輪車に比べて衝撃を吸収しやすい。3輪であるため、タイヤがグリップを失うなどのさまざまな現象が段階的に来る。その分、安全性が高い。日経Automotive
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減速機を兼ねた送りねじを採用
第6回:電動キャリパー
NTNは電動キャリパーを開発した。モーターの回転力を直動力に変える「遊星ローラーねじ」という新機構を組み込んだ。遊星歯車機構に似た構成で、サンギアの代わりに円筒形のサンローラー、プラネタリー(遊星)ギアの代わりに遊星ローラー、リングギアの代わりにリングローラーがある。日経Automotive
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損失小さい軸受、燃費改善の鍵に
第5回:保持器のない軸受
転がり軸受の損失を極限まで小さくするために、摩擦の原因である保持器をなくした軸受が現れた。保持器がなくても転動体が間隔を保つ独自の工夫を取り入れた。摩擦抵抗を少なくとも1/2、条件によっては1/14に減らすことができる。日経Automotive
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減速機付きかDDか
第4回:インホイールモーター(下)
前回に続いてインホイールモーター(IWM)である。IWMには減速機付きとダイレクトドライブ(DD)の2種類がある(図1)。減速機には遊星歯車機構、平行2軸式、サイクロイドなどの実例がある。DDにはインナーローター、アウターローター、アキシャルギャップがある。日経Automotive
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期待先行、普及はこれから
第3回:インホイールモーター(上)
IWMの実用化がなかなか進まない。理由の一つにIWMを「どう評価するべきか分からない」ことがある。日経Automotive
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機械式、油圧式の技術が今の源流
第2回:4輪操舵(下)
4輪操舵を操舵する方向で分けると、同位相と逆位相の2種類がある。制御のしかたでも操舵角制御、操舵力制御の2種類。今回は、4輪操舵が誕生した1980年代のメカニズムを引用しながら、原理を解説する。現代の電動4輪操舵を理解する助けになるだろう。日経Automotive
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後輪操舵でクルマの向きを制御
第1回:4輪操舵(上)
前輪だけでなく後輪も操舵する4輪操舵(4WS=4Wheel Steering)。人間がハンドルで前輪を操舵し、クルマが自ら判断して後輪を操舵するので、安定した旋回ができる。前輪は従来通りのやり方で操舵するので、システムとしては4輪操舵、機構としては後輪操舵機構だ。日経Automotive