トヨタはAIにここまで本気なのか─。 2016年1月5日に米ラスベガスで開かれた「CES」でトヨタ自動車が発表したAIを研究する子会社「Toyota Research Institute(以下、TRI)」の体制は、世界各国から集まったメディアが驚くほどの豪華メンバーだった。

 TRIの最高経営責任者(CEO)に就任したGill Pratt氏は、米国防総省国防高等研究計画局(DARPA)の「ロボティクスチャレンジ」の元責任者。他も、米国のGoogle社の元ロボティクス部門長や、Bell研究所の元部門長、MIT(マサチューセッツ工科大学)教授など、AI やロボティクスの第一人者が集結した(図1、図2)。

図1 TRIの研究開発体制を発表するGill Pratt氏
図1 TRIの研究開発体制を発表するGill Pratt氏
第一線で活躍する機械学習やロボットなどの研究者を集めた。
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図2 Toyota Research Institute(TRI)のメンバー
図2 Toyota Research Institute(TRI)のメンバー
米国のシリコンバレーとボストンに拠点を置き、スタンフォード大学やMITともタッグを組んでAI研究を進める。
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 TRIが生み出す研究成果は、新型車の開発などに積極的に活用する。「TRIの目標は、将来のトヨタの製品に真の違いを生み出すべく、基礎研究と製品開発の間の橋渡しをすることにある」。TRIのCEO、Pratt氏はこう言い切る。

 トヨタ自動車はTRIに5年間で10億ドル(約1200億円)を投じる。巨額の資金でトヨタ自動車はいったい何を開発しようとしているのか。