神戸製鋼所のデータ偽装では、顧客仕様を表面上満たすように検査データを書き換えたり捏造したりした。日産自動車とSUBARUの検査不正では、型式指定制度の完成検査を不適切な方法で実施した。いずれも、「このメーカーならば間違いないはず」という信頼を裏切る行為だ。検査は品質を担保する最後の砦。そこで不正が生じれば、品質に対して疑いを持たれても文句は言えない。対岸の火事だと侮っていると、日本の製造業に品質クライシスが襲い掛かる。
品質クライシス
目次
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広範囲での偽装が明らかに、きっかけは監査体制の強化
データ偽装編
体育の日を含む3連休の中日だった2017年10月8日、神戸製鋼所は都内で緊急会見を開いた。同社グループのアルミ・銅事業部門における品質データの偽装が発覚したためだ。日経ものづくり
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約40年続いた法令違反、無資格以外でも問題発覚
検査不正編
日産自動車とSUBARU(スバル)による検査不正問題は、過去3年間に製造した国内市場向け車両全数をリコールする事態に陥った。両社とも「完成検査そのものは実施していた」として、安全性や環境規制への対応など保安基準を満たしていると強調したが、自動車の型式指定制度*1における法令違反は言い逃れできなかった…日経ものづくり
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利益重視と現場の放任が根源、不安払拭には技術的根拠が必要
問題提起編
大きな社会問題となった神戸製鋼所の品質データ偽装と日産自動車・SUBARUによる検査不正。どちらも全容解明はこれからだ。未だ不明な部分も少なくないが、今回の問題には、これら3社に限らず日本の製造業に広く共通する要因が見え隠れする。自動車や鉄鋼、部品、電機、産業機器メーカーで設計や品質管理、生産に携わ…日経ものづくり
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日本メーカーに深刻な悪影響、自社に潜むリスクの高さも認識
数字で見る現場:調査テーマ「データ偽装/検査不正の実態」
神戸製鋼所の品質データ偽装、日産自動車やSUBARUにおける不適切な完成検査と相次いで発覚した不正問題は、日本の製造業に少なからず悪影響を与え、特に信頼性やブランド力の低下につながるという不安を生じさせている。データ偽装や不正検査が自社で発生する可能性を危惧する声も多い。データ偽装を防ぐ仕組みの導入…日経ものづくり
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似て非なる2つの不祥事、日本製造業の信頼性が低下
プロローグ&総論
ほぼ同時期に発覚した、神戸製鋼所の品質データ偽装および日産自動車とSUBARUによる検査不正の問題。日本を代表するものづくり企業での相次ぐ不祥事が大きな注目を集めた。いずれも品質に関連した不適切な事案だが、「品質が悪い製品を偽って世に出した」とだけ理解すると本質を見失う。まずはそれぞれの不祥事を整理…日経ものづくり