日本でも製品化ラッシュを迎えたAIスピーカーは、「ホームIoT」や「コネクテッドホーム」と呼ばれる潜在的には巨大な市場の前座にすぎない。これまで何度も期待されながら離陸しなかったコネクテッドホーム市場は、欧米で急速に拡大しつつある。AIスピーカーとホームIoT機器の今後の位置付けを紹介する。

 音声認識技術や対話技術などの人工知能(音声AI)を備えたオーディオスピーカー(AIスピーカー)が次々と登場している。先行した米Amazon.com社の「Amazon Echo」や米Google社の「Google Home」などが2017年6月末までに米国だけで累計4000万台近く売れたという推定注1)もある中、日本のメーカーも続々と製品を発売しつつある。

注1)米国の調査会社Morning Consult社が2017年6月に実施したユーザーアンケート結果から推定。

 ただし、このAIスピーカーという製品がこれほど脚光を浴びるのは今がピークになる可能性が高い。AIスピーカーは、多くのメーカーにとってゴールではなく、ホームIoT(Internet of Things)機器、あるいはそれらが連携して動作する「コネクテッドホーム」という巨大市場をにらんだ布石の1つでしかないからだ。

 例えば、既に技術上の競争軸は、人間と機器とのインターフェースである音声AIから、IoT機器間インターフェースであるAPI、およびそのプラットフォーム間の争いへと移り始めた。

API=Application Programming Interface。