茨城県日立市に本拠を置き、「難削材・難形状加工」と「超短納期」を武器に業績を伸ばしているのが今橋製作所だ。
発電所や医療機器などの部品には、3次元的に複雑な凹凸や曲面を伴う形状の部品を、耐熱合金などの難削材で製作しなければならない場合がある。例えば原子力発電所などで高熱にさらされる部品を、切削加工が困難な耐熱・耐蝕合金である「インコネル」や「ハステロイ」のブロックから削り出す。同社はこうした切削加工を多く手掛ける。
汎用旋盤による薄肉加工も得意分野だ(図1)。ステンレス鋼で肉厚0.03mmの薄肉加工まで対応している。
試作品の超短納期も“売り”だ。取材日も、前日に自動車関連メーカーの開発部から依頼された試験用のフランジを5個製作した直後だった。同社代表取締役の今橋正守氏は、「今日宅配便で送れば、明日の午前中には到着する。それほど加工の難しいものではないが、短期で納品できれば、新規の顧客からも信頼を得て、本来我々が得意とする難加工部品の受注拡大にもつなげられる」と語る(図2)。