子どもの教育に「デザイン思考」を取り入れたワークショップを展開するCurio School(本社)と製造業向けコンサルのO2(同)が、中高生向けにものづくりの体験を通して創造性を競うプログラム「Mono-Coto innovation」を開催する。同プログラムは、数人メンバーから成る中高生のチームが、協賛企業から与えられたリアルなテーマに沿って製品のアイデア創出から仕様策定、モックアップ造りに挑むもの。協賛企業のメンターの支援を受けながら、半年におよぶ活動を通じて独創的な製品の開発の一端に触れてもらい、各チームが創造力を競い合うのだ。

第1回の2015年の大会は首都圏だけだったが、第2回となる2016年の大会は協賛企業も大幅に増えて規模を拡大。東京、山形、京都の3地方予選を経て決勝戦を行う。第1回大会に引き続き第2回も協賛企業として参加する富士通デザイン サービス&プロダクトデザイン事業部の部長である藤田博之氏と同部プロダクトデザイナー石井聖己氏に、参加の狙いや前回の様子を聞いた(聞き手は吉田 勝)

――最初にMono-Coto Innovationの話を聞いたときはどういう印象でしたか?

富士通デザイン サービス&プロダクトデザイン事業部の部長 藤田博之氏
富士通デザイン サービス&プロダクトデザイン事業部の部長 藤田博之氏
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藤田氏:素直に面白そうだと思いました。パソコンやスマートフォンといった富士通のコンシューマービジネスに行き詰まり感があり、新しい顧客を見つけていきたいと考えていたので、デジタルネイティブ世代である中高生世代に強い関心がありました。

石井氏:我々が協賛した狙いは、主に3つあります。1つは、ものづくりの人材を輩出するきっかけにしたいということ。中高生なら自分と年齢が比較的近いという感覚があり、CSV(共通価値の創造)活動の一環として自分たちが積極的に関わっていけると思いました。

 2つ目は、ダイレクトマーケティングの側面からです。企業にとって未成年にリーチするのはハードルが高く、実態がつかみにくい。そのターゲットと直接一緒にものを造ることで、単純な調査では分からない新しいマーケティングが可能になると考えました。3つ目は、広告宣伝効果を狙ってですね。若い世代に直接「富士通」というブランドをアピールできるのではないかとの期待がありました。

藤田氏:若い世代は「富士通」ブランドと触れる機会が少ないし硬いイメージがあるので、違う側面を伝えたかったんですよ。