――どのような観点からでしょう。

豊田氏 まず、患者にとっては病院を受診するハードルが下がるはずなんです。体やメンタルに病気を抱えていても、病院に行かない人は驚くほど多い。血圧が170あっても平気で放っておきますからね。そういう人達に、受診のきっかけを与えられる。

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 医療従事者の側から見ても、遠隔診療は業務の効率化につながりますし、よりカジュアルなスタイルでの医療提供を可能にしてくれます。このことは、予防医療の実践に確実につながると思うんです。

 脳外科の勤務医だった時代に、よく当直をやらされました。でも、患者が運ばれてこない日が結構あるんですよ。「今、同じ状況にいるドクターがどれくらいいるだろう」。そんなことをふと思ったりしました。

 ある場所に医師が必ずいなければいけない、というシステムは非効率なんです。何かしら“シェアリング”の仕組みが必要ではないかとずっと考えてきた。遠隔診療には、そうした仕組みづくりにつながる可能性を感じています。