――HPKI認証局の稼動状況について聞かせてください。

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 当初は2014年度に日薬認証局を設置し、2015年度からHPKIカードを発行する予定でしたが、1年ほど遅れています。というのも、準備中に厚生労働省の「HPKI認証局署名用証明書ポリシ」が変更されたため、仕様変更に合わせて構築し直す作業があったためです。2016年3月初旬に準拠性監査を受け、正式に厚生労働省運営のルート認証局に相互接続できるようになったので、今年度内には正式に設置し、発行業務を行います。

 初年度は400枚程度、3000枚ぐらい発行すれば申請・発行の業務フローも確立できると思うので、当面3万枚ぐらいは発行されると思っています。薬剤師資格を持つ人は約25万人、実際に調剤として稼働しているのは6割程度とみています(日薬会員数は約10万人)。HPKI認証は電子処方箋への移行に伴うものだけでなく、病院医師が自院の病院情報システムへのログインにHPKIカードを使う施設も出てきているので、病院薬剤師も同様でHPKIカード取得は徐々に拡大していくと思われます。

 申請・発行の業務フローは基本的に日医認証局と同じように進めていく予定です。申請受付・書類審査は、本人確認がしやすく手間をかけないよう地域薬剤師会にお願いし、最終審査と発行を日薬の認証局で行っていきます。

 発行手数料や利用料に関しては、現在のところまだ公表できる段階ではありません。地域薬剤師会に業務委託する部分もありますし、証明書用ICカードの原価もあるので、それらを含めて費用を検討しています。薬局の経営主体などが費用負担をするケースもあるでしょうが、薬剤師個人の資格証なので、私見ですが薬剤師が自己負担していくべきだと思っています。

――最後に電子処方箋の普及における課題、展望を聞かせてください。

 医療情報ネットワーク基盤検討会でも述べましたが、実施環境が整った地域から運用開始されるとなると、地域外の薬局にも必ず処方箋は持ち込まれます。紙であろうと電子であろうと、我々は処方箋の応需義務を負っています。薬局の電子化対応が網羅できるまでの過渡期の対策として電子処方箋引換証の仕組みはよく考えられているとは思いますが、現場の負担は免れません。実施するからには、できるだけ過渡期が短縮される必要があります。

 道州制の推進ではないが、電子化対応の網羅性を上げるためには、処方箋ASPサーバーの運用も含め、○○地方では何年以内に原則、電子処方箋運用に移行するといった計画で進めないと普及は難しいのではないでしょうか。

 電子処方箋運用は、医療情報の電子化・利活用の一環として意義のあることと思います。(過渡期の長期化、紙との併用運用が)調剤現場の負担を大きくなり、患者さんがデメリットと感じることは避けなければなりません。