需給バランス改善と電圧変動抑制が目的

 同変電所に設置した大容量蓄電池の実証目的は大きく2つある。「東北電力の中央給電指令所から充放電を指令・制御し、再エネの出力に起因する供給余剰と需要のバランス改善の効果」、そして、「蓄電池システムの無効電力制御を活用することによる、再エネの出力変動に伴うローカル系統の電圧変動の抑制効果」―――を検証することだ。

 これらの効果によって、蓄電池による再エネ導入量の拡大効果を算定する。東北電力は、太陽光の拡大効果を現時点で50MW程度と見込んでいる。新たな接続枠については、経済産業省からの要請に従い、福島県の避難解除区域などでの再エネ発電事業者に優先的に割り当る。

 実証期間は、2015~16年度。実証終了後も、東北電力が蓄電池システムを活用する。

 すでに福島県は、南相馬変電所の大型蓄電池を活用した優先的な再エネ接続枠を、「南相馬蓄電池優先接続枠」として、公募を始めている。第一次募集で6件(15.55MW)を採択し、6月の第2次募集で34.45MW分を公募した。

 2015年12月に福島県などが出資する福島発電(福島市)が、大熊町の居住制限区域に稼働させた出力1.89MWのメガソーラー「大熊町ふるさと再興メガソーラー発電所」は、「南相馬蓄電池優先接続枠」によって建設が実現したものだ(図2)。

図2●「南相馬蓄電池優先接続枠」で接続した「大熊町ふるさと再興メガソーラー発電所」
図2●「南相馬蓄電池優先接続枠」で接続した「大熊町ふるさと再興メガソーラー発電所」
(出所:福島発電)
[画像のクリックで拡大表示]