300kWの太陽光と360kWの系統蓄電池を設置

 死者・行方不明者合わせて3700人余り、被災した住宅は全住家の72.6%に当たる5万3742棟――。石巻市は、市町村別で見ると、東日本大震災で最大の被災地となった。加えて、同市内の区域は、原発事故の避難指示区域を除き、被災地で最後に残った停電地域ともなった。

 「石巻スマートコミュニティ推進事業」は、こうした体験から構想された。「いしのまき あ・か・り プロジェクト」の通称が示す通り、太陽光発電と蓄電池、そして、地域エネルギー管理システム(CEMS)によって、災害に強い低炭素型の街づくりを目指す。

 復興公営住宅や市内の公共施設のEMS(エネルギー管理システム)を統合する「需要家統合システム」を東芝が運用。太陽光発電と蓄電池を統合制御する「系統安定化システム」は東北電力が運用する。CEMSは、2つのシステムを連携させる役割となる。

 「石巻蛇田太陽光発電所」は、出力300kWの太陽光パネルを並べ、同じ敷地内に出力360kW(容量120kWh)の大型蓄電池を併設している(図3、図4)。この蓄電池は、太陽光発電設備と同じ敷地内にあるが、出力を合成して系統連系しているわけでなく、太陽光とは別の連系点で接続している。

図3●出力360kW(容量120kWh)の蓄電池と蓄電池盤(出所:日経BP)
図3●出力360kW(容量120kWh)の蓄電池と蓄電池盤(出所:日経BP)
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図4●蓄電池の前に解説用の表示パネルを設置(出所:日経BP)
図4●蓄電池の前に解説用の表示パネルを設置(出所:日経BP)
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 平常時には、蓄電池を備えた「系統安定化システム」が、太陽光の出力変動による影響を緩和し、上位系統への負担を軽減する。