太陽光発電事業は、少なくとも20年あるいはそれ以上の長期事業である。太陽光発電については、他の発電方法との比較において、メンテナンスがあまり必要ではないというメリットはある。それでも事故を未然に防止したり、安定した発電を得るためには、O&M(運営・保守)契約の重要性は言うまでもないだろう。

 O&M契約は、1年契約として毎年更新するものから、再生可能エネルギー特別措置法に基づく固定価格買取期間を踏まえ20年契約とするものなど、多様な類型がある。

 そして、長期契約を締結したものの、O&M事業者のパフォーマンスが想定を下回っている場合においては、その契約を維持するのかが問題となる。

原則は是正要求をしたうえでの解除

 民法の原則では、相手方が約束したパフォーマンスを発揮できていない場合でも、直ちに、一方的に契約を解除できるものではなく、まずは是正を求め、相手方が是正しない場合にはじめて解除できるものとされている。それゆえ、O&M事業者のパフォーマンスが不十分であるときには、すみやかに適当な履行を行うように是正要求をし(催告)、これにもかかわらず是正がなされないときにはじめて契約を解除できるということになる(民法541条)。

 また、相手方のパフォーマンスが不十分である場合でも、これが軽微なものにとどまる場合には、契約を解除することが出来ないものとされている。

 例えば、即時解除を可能とする特約が定められているときには、上記の是正要求(催告)を経ることなく、直ちに解除できるものであるが、中小規模の産業用太陽光発電からメガソーラーに至る大規模な太陽光発電においても、筆者の知る限り、相手方が差押え等を受けた場合などの債権回収のための一般的な解除に関する特約が定められているにとどまるのが通常であると思われ、概ね上記の議論が妥当すると思われる。