対策済みをうたいながら、PID現象が発生したら・・・

 では、PID対策製品で、パネルメーカー側がモジュールの性能に関して、「実際の出力量」が一定値を下回らないことを保証するという条項があった場合、メーカーはいかなる責任を負うことになるのか? この点について検討してみたいと思います。

 まず、PID現象が起きても、調整さえ行えば出力が回復する場合には、メンテナンスの範囲であり、瑕疵ではなく、保証の対象外と見る余地があります。

 しかし、瑕疵はなくても、メーカーとしての説明責任を果たしているかどうかは問われます。太陽光発電事業者サイドは製品選定時に、PIDリスクが発生するかどうか分からないのですから、この点についての明確な情報提供がなされていたかという点が専門家責任の観点から問題となります。

 「PID現象は起きません。製品改良済みです」と説明してパネルを販売したにも関わらず、設置後、PID現象が発生したとします。この場合、パネルメーカーなど製品販売側は説明義務違反に基づく損害賠償責任を負うリスクがあります。ただし、購入側が説明義務違反を追及するには、相手方の故意または過失を立証する必要があります。

図2●PIDと見られる現象で400枚のパネルを交換した長崎県壱岐市「壱岐ソーラーパーク」
図2●PIDと見られる現象で400枚のパネルを交換した長崎県壱岐市「壱岐ソーラーパーク」
(出所:日経BP)
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