具体的には、粒径がnm(ナノメートル:ナノは百万分の1)レベルのシリカ系の無機材料をカバーガラスの表面に塗布することで、寸法が20nmといった微細な凹凸を含む膜を形成する。
この微細な凹凸が、パネル外部への光の反射を抑えるとともに、パネル内部により多くの光を入射させる機能を持つ。また、帯電防止効果が高いことから、汚れが付きにくくなる(図2)。この両方の効果により、発電量が増すという。
ガラスの表面にある微細な凹凸にも、無機材料が入り込む。これは、膜とガラスの密着性の向上に寄与している。
製品化したのは、自動車関連の中央自動車工業である。無機材料は、九州大学と共同で開発した。
中央自動車工業は、自動車の空調機器の後付けサービスを祖業とする。しかし、次第に空調機器は自動車メーカーが内蔵して提供するようになり、空調機の事業は縮小した。その後、自動車販売会社のネットワークを生かしながら展開できる事業として、車体や窓ガラスへの撥水コーティングを手がけるようになった。
リーマンショック後の需要の低下を受けて、新たな分野を模索していた。これと同時に、今回の材料である無機材料を九州大学と共同で開発していた。
こうした状況で、日鉄住金物産の太陽光発電関連の部署とつながりができ、応用分野の一つとして、太陽光発電向けに展開することにした。太陽光発電向けでは、日鉄住金物産が販売代理店となり、中央自動車工業が材料の供給と塗布を担当する。
他の分野では、住宅や道路の表示材などの例がある。