メガソーラー(大規模太陽光発電所)では、出力1MWで約4000枚、同3MW以上では1万枚以上の太陽光パネルを設置することになる。そして、稼動から時間が経過するほど、パネルの不具合や劣化などが一定の割合で発生する。

 不具合をできるだけ早く発見し、適切に対処することが、火災などを防ぐ安全性や、売電損失を防ぐ事業性の両面から重要になる。多数のパネル群から、不具合を効率的に、高精度に発見できる手法が、O&M(運用・保守)における課題の一つとなっている。

 発電の状況から確認できる手法として、ストリング(太陽光パネルを接続する単位)段階で監視する発電所も多い。パワーコンディショナー(PCS)段階で監視する手法に比べると、接続されているパネル枚数が少ないことから、相対的に不具合を見つけやすい。

 ただし、この手法でも、パネルの不具合や経年劣化を把握するのは、それほど簡単ではない。発電量を相対的に比べる手法のため、ストリングを1本(回路)ごとに調べていった場合、極端に差がつく場合でない限り、気づきにくいことが多い。

 そこで、より短時間で、かつ正確に不具合を把握できる手法が求められている。

 こうした要求を満たす手法の一つとして、複数のストリングの発電状況を同時に計測し、特性グラフを重ね合せて比較する手法がある。

 他のストリングとのズレから不具合の可能性を推定し、その後、そのストリングを構成するパネルの導通状況から、故障個所を特定する。I-V特性の測定装置と、磁界や電界を応用したパネル間やパネル内の断線検出装置からなり、戸上電機製作所が開発・販売している(図1)。

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図1●ストリングごとの発電状況の比較から、容易に不具合箇所を特定
図1●ストリングごとの発電状況の比較から、容易に不具合箇所を特定
2種類の機器を使う(出所:戸上電機製作所)
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 現在、国内のメガソーラー(大規模太陽光発電所)において、アイテスのストリング抵抗・太陽光パネル検査装置(関連コラム:「直撃雷」でパネル33枚が破損したメガソーラー)、エヌ・ピー・シー(NPC)のI-V特性測定装置やEL/PL検査装置(関連コラム:「PVテストカー」がサイト現場でパネルを診断)、システム・ジェイディーのアレイ検査装置(関連コラム:パネル単位で不具合を特定、ICや通信の検出手法を応用)などとともに、広く使われている機器となっている。

 これらの機器には、目的が類似するものもある。採用する発電事業者やO&M(運用・保守)関連事業者などがすでに使っている機器との兼ね合いなどによって、複数の機器が使い分けられていることが多い。