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HOMEエレクトロニクス電子デバイス応用物理学会から > パワー半導体をニッケルめっきで接合、特性とコストを両立

応用物理学会から

パワー半導体をニッケルめっきで接合、特性とコストを両立

応用物理「Niメッキによる高生産性パワーデバイス接合技術」

  • 巽 宏平=早稲田大学大学院情報生産システム研究、飯塚 智徳=早稲田大学情報生産システム研究センター
  • 2017/04/03 05:00
  • 1/6ページ
本記事は、応用物理学会発行の機関誌『応用物理』、第86巻、第2号に掲載された「Niメッキによる高生産性パワーデバイス接合技術」の抜粋です。全文を閲覧するには応用物理学会の会員登録が必要です。会員登録に関して詳しくはこちらから(応用物理学会のホームページへのリンク)。全文を閲覧するにはこちらから(応用物理学会のホームページ内、当該記事へのリンク)。『応用物理』の最新号はこちら(各号の概要は会員登録なしで閲覧いただけます)。

半導体の実装技術、とりわけチップ導電接続技術については、近年デバイスの高速化、小型化、高密度化への要求から、技術革新が急速に進展している。パワーデバイスにおいても、高性能化、高耐熱化、大容量化への対応、特にSiC、GaNなどのワイドバンドギャップ半導体には新たな接続技術が求められている。ここでは、高耐熱、耐腐食性に優れたNi材料に着目した接続技術の研究開発について紹介する。Niは表面の酸化膜が安定であるため、固相接合は一般に困難である。接合材料としては、800℃以上の高温でのろう付け合金主成分として用いられてきたが、半導体などの導電接続技術として検討した例はほとんど見られない。Niは融点が1460℃であるが、メッキプロセスは数十℃でありながら、最適条件下で被着されれば、密着性、耐食性、拡散バリヤ性に優れている。連続ラインでのメッキ接続が可能となれば、高生産性、低コスト化が期待できる。SiCデバイスの接続に応用し、300℃以上の高温特性を測定した例も示す。

 半導体デバイスの高密度化、高速化、高性能化、低コスト化が進展し、エレクトロニクス機器の高機能化、小型化を可能としてきたが、それらを実現するための実装技術においても、急速な技術革新が行われてきた。ワイヤボンディングに代わるフリップチップ技術がMPUなど高性能デバイスで普及し、また、ウェーハレベルパッケージ(Wafer Level Package:WLP)やファンアウトWLP(Fan Out-WLP: FO-WLP)技術が特に携帯機器などに採用されてきた。フリップチップ技術においては、チップと基板をはんだバンプで接続するタイプのものに加えて、チップ側にCuバンプをメッキで形成し、そのCuバンプを介して、はんだで基板に接続するタイプのものが開発されてきた。図1に、Intel社製MPU・Core i5のチップ電極と基板との接続断面の例を示す。一方、WLP技術はウェーハ上のデバイスの電極から、上面の絶縁層を介してCuメッキにより再配線を行い、外部端子電極を形成し、はんだボールにより基板に接合するものである。デバイスの電極、配線にメッキ技術が多用されてきているが、基板とチップ電極端子間の接合ははんだによるものが多く、メッキによる直接接合の例はほとんど見られていない。

図1 Intel 社製MPU・Core i5チップ/基板接続断面図

 一方、パワーデバイスあるいはモジュールにおける実装技術は、図2に示すように、チップ電極と基板間は太線(200μmϕ以上)Alワイヤを超音波接合により接続を行い、チップのダイボンディングははんだを用いて接合を行うのが一般的である。パワーモジュールの小型化を可能とした両面放熱†1タイプの実装技術においても、Alワイヤやはんだ材料が主として用いられている1) 。高電流密度で動作させるパワーデバイスは放熱技術が重要となるが、デバイスのみならず、実装技術の高耐熱化への要求が高まっている。特にSiCやGaNデバイスでは、高温での動作が可能であることから、実装技術の高耐熱化が期待されている。ワイヤ素材であるAlは融点が660℃であるが、高温での使用では、熱応力による疲労や再結晶の懸念から、Cuワイヤの使用も一部で検討されている2)。はんだによるダイボンディングについては、Ag、Cuなどのナノ粒子を用いた高耐熱接合技術も検討されているが、高温耐食性や熱応力緩和が十分でないことなどが問題点として指摘されている。

†1 両面放熱パワー半導体の実装構造で素子上面と下面の両側から、放熱を可能とする方式。素子上面の導電接続方式は、ワイヤボンディングに替え、リード端子をはんだもしくはナノ粒子ペーストなどにより、直接接合する構造とすることで可能となる。

図2 パワーモジュール断面模式図

 Cuメッキによる電極間の接続は、特にTAB(Tape Automated Bonding)リードとチップ電極との接合3)†2について、メッキ連続ラインで実施する4)ことを、筆者らの研究チームが検討してきたが、TAB 技術の普及は、限定的な分野でのみにとどまったため、メッキによる接合は実用化には至っていない。図3に、AuメッキされたCuリードとチップ電極が接合されている例を示す3)。メッキ温度は通常数十℃程度であり、高融点金属を用いた接続も低温で可能となることから、高耐熱実装に高温で安定なNiを用いたメッキ接合をパワーデバイスに適用する検討を開始した5)。図4 に、チップ接続に関わる各種接続材料の融点と接続温度の関係を示す。溶融接合については、材料の融点よりやや高い温度でリフローして接続することが一般的である。ワイヤボンディングは超音波接合を利用するので、低温で高融点の材料を接続することができるが、ボンディングワイヤのような線状のものか、比較的小さいチップに限定される。ナノ材料は表面活性であるため、比較的高融点の材料でも低温で焼結接合できる。メッキ接合は、高融点材料でも低温(100℃以下)で接続できることが特徴である。

†2 TAB接合ポリイミドフィルム上に銅箔の配線パターンと接続端子リードが形成されたTABテープを用いたチップの接合方式。TABリードは金などで形成された素子の電極部の突起(バンプ)と接合される。

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