電力「半減」から「9割減」に挑戦

 実は、コマツ粟津工場では、FITを活用して40円/kWh(税抜き)で売電している500kWの屋根上太陽光も稼働している。これと自家消費分の550kWを合わせると、同工場は、1MWを超えるメガソーラー(大規模太陽光発電所)を有していることになる(図3)。

図3●コマツ粟津工場の太陽光発電設備(出所:コマツ)
図3●コマツ粟津工場の太陽光発電設備(出所:コマツ)
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 太陽光発電を売電するか、自家消費するかは、「その時々のエネルギー源に対する考え方によって変わってきた」(粟津工場生産技術部・管理課の戸井良広課長)という。

 コマツは、2011年3月の東日本大震災によって、電力調達が不安定になった教訓を踏まえ、2015年を目標にした「電力半減プロジェクト」に全社的に取り組んできた。これは、最新の省エネ設備や生産効率の改善によって、電力会社から購入する電気を50%以上、削減し、温暖化対策とともに、災害に強い生産体制の構築を目指すものだ。

 「電力半減プロジェクト」は、省エネによる消費電力削減が前提のため、同プロジェクトの開始当初、工場に設置する太陽光発電設備は、利益を目的にした売電事業と位置付けられた。経済性を最優先すれば、自家消費よりもFITによる売電の方が有利だ。

 ただ、その後、粟津工場の新組立工場に関しては、築40年を超えた2棟の組立工場を1つに集約するなど、抜本的な改装になることから、「ダントツの環境性能を持つ次世代組立工場」を想定し、「購入電力の90%削減」を目標に据えることになった。