メガソーラーの周りに観光農園

 ヤギは15頭、肥育している。パネルに上ってしまうため、発電所内には入れないようしてあるが、周辺に放牧して除草にも役立てている。養鶏施設には、10羽の地鶏がおり、そのうち9羽が雌なので、毎日のように卵を得られるという(図8)(図9)。

図8●15頭のヤギを肥育
図8●15頭のヤギを肥育
(出所:日経BP)
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図9●地鶏12羽がいる「地どりファーム」
図9●地鶏12羽がいる「地どりファーム」
(出所:日経BP)
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 テイクエナジーでは、メガソーラーを取り囲むエリアを観光農園として整備し、エネルギー生産と農畜産業が共存した新しい試みとしてアピールし始めた。都市に暮らす環境意識の高い人たちに対し、体験型農業学習の場として活用してもらうことを狙っている。

 2014年11月には、「水増ソーラーパーク」を会場に、NBL(ナショナルバスケットボールリーグ)の熊本ヴォルターズの選手たちと一緒に、新米の「稲刈り体験」を実施した。

 また、東京都や山口県にある大学の学生や研究者が訪れ、70本のブルーベリーの収穫や農作物の植え付け体験などに取り組んだ(図10)。こうした活動が農林水産省の目に留まり、同省の提唱する「農林漁業の健全な発展と調和のとれた再生可能エネルギー発電」を具現化する先行事例として、紹介された。これを機に行政関係からの視察や見学も増えた。

図10●学生が収穫体験したブルーベリー畑
図10●学生が収穫体験したブルーベリー畑
(出所:日経BP)
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 「八天狗」を水増特産の大豆としてブランド化する、というアイデアもこうした視察がきっかけとなった。視察者に提供した郷土料理に八天狗の座禅豆が入っており、その美味しさが評判になった。そこで、「ゲノム解析したところ、国のデータべースに記載がなく、初めて見出された『幻の在来種』とわかった」(テイクエナジーの竹元茂一会長)。

 八天狗を地域特産の大豆としてアピールする活動には、熊本県に本社のある納豆メーカー、マルキン食品も賛同し、八天狗を使った納豆の製造に取り組んでいる。「八天狗定食」の納豆は、マルキン食品が作ったものだ(図11)。

図11●マルキン食品が作った「八天狗納豆」
図11●マルキン食品が作った「八天狗納豆」
(出所:テイクエナジーコーポレーション)
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