1日で最大300枚分を組み立て・曳航

 平木尾池に設置する出力2.6MWの案件では、最終的に1万795個のフロートを使い、9504枚のパネルを浮かべる。フロートは、縦横に連結した「島」の外周分や、「島」の間を橋のように渡して通路とする分もあるので、パネル設置枚数よりも多くなる。

 着工から約1カ月後となる6月下旬の取材時には、1日あたり平均で210枚、最大で300枚というペースで、水上に太陽光パネルを浮かべていた(図5)。

図5●1日最大300枚のペースで水上に太陽光パネルを浮かべる
図5●1日最大300枚のペースで水上に太陽光パネルを浮かべる
平木尾池の水上メガソーラーの施工の様子(出所:日経BP)
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 平木尾池の場合、池に隣接する平地が広く、ここを作業や保管に使えるため、施工効率の向上に有利な環境にある。池の隣にこうした広いスペースがない場合、資材の保管や組立作業で苦労する場合がある。

 10t車による太陽光パネルやフロートの納入、フォークリフトによる敷地内の運搬もスムーズにできる環境にある(図6)。

図6●池に隣接する平地の活用で、施工性が高まる
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図6●池に隣接する平地の活用で、施工性が高まる
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図6●池に隣接する平地の活用で、施工性が高まる
資材の保管や運搬も効率的に(左)、10t車によるパネル納入の様子(右)(出所:日経BP)

 施工の状況に合わせながら、フロートは1日に10tトラック2台で、合計280枚のパネル設置分ずつ、パネルは2日おきに10t車1台で400枚ずつ、現地に納入されている。

 平地には、鉄板を敷き詰めている。梅雨を挟んでの施工となることもあり、雨天時に地面がぬかるんで作業効率が下がることを防いでいる。

 池には護岸があり、護岸の上部には幅1m、深さ1mの段差が設けられている。この段差を使って、平地から水面まで斜めに下っていくように板を敷き詰め、組み立ての作業場としている(図7)。

図7●段差を使ってスロープ状の組み立て場を設置
図7●段差を使ってスロープ状の組み立て場を設置
横一列に11枚分を組み立て(出所:日経BP)
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 この組み立て場に、まず、横一列にパネル11枚分の浮力体部の樹脂部材を並べる。この浮力体部の樹脂部材には、すでにパネル上部を支える部材やパネル固定具などがセットされている。これを1回に1人で2個ずつ運び、効率を上げている(図8)。

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図8●組み立ての様子
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図8●組み立ての様子
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図8●組み立ての様子
簡単に施工でき、着工後には慣れてどんどん施工性が向上するという(出所:日経BP)

 次に、すでに組み立ての終わった前列の樹脂部材と、接続バンドで連結する。横方向の接続と足場を兼ねた樹脂部材も同じように連結する。

 その後、太陽光パネルを固定する。固定し終えたパネルから、別の作業者がコネクタを接続していく。それぞれの作業がスムーズに進むように設計されている上、こうした効率的な分担作業も加わって、着工後、慣れるに従い施工性が高まってくるという。

 これで1列が完成し、また次の列で、同じ作業を繰り返していく。

 組み立て場が水面に向けて斜めに下っていることで、組み立ての終わった列から水面に下ろしていく作業の効率も高まった。組み立て場が平地の場合に比べて、斜めに下っているので、水面に向けて押す力が少なくてすむ。足で下に押していくだけで下っていく。

 一定の数の列が完成したところで、設置する場所までボートで引いていく。

 太陽光パネルは22枚を直列に接続し、接続箱に入力する。このため本来ならば横一列で22枚分を組み立てる構成が理想だった。たが、組み立て場として確保できる場所の制約から、その半分の11枚分ずつを組み立てることにした。