発泡樹脂の充填、水没対策にも

 開発したフロートは、高密度ポリエチレン製の部材を連結して構成する(図2)。この樹脂製の部材は2種類ある。太陽光パネルを固定する「本体」と、作業のための通路として使う「足場」で、形状が異なる。本体は主にパネルの前後となる東西方向の列、足場は主に南北方向の列に使われる。

図2●樹脂部材を連結して構成する
図2●樹脂部材を連結して構成する
イビデン・衣浦事業場内の水上メガソーラーの予備用(出所:日経BP)
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 この二つを組み合わせながら、必要な枚数の太陽光パネルや接続箱を浮かべる「島」を構成していく。

 樹脂の部材でフロートを構成する場合、高密度ポリエチレンは一般的な材料となっている。汎用樹脂の中では相対的に軽量で、かつ、腐食に強いからである。紫外線吸収剤を添加することで、耐候性も高まる。

 同社のフロートでは、安定性や信頼性を高めるため、主に本体では、高密度ポリエチレンに発泡樹脂を充填している。これによって、水上での安定性を増すという(図3)。

図3●水上での安定性を高めた
図3●水上での安定性を高めた
歩行や作業性にも寄与(出所:イビデンエンジニアリング)
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 発泡樹脂を充填することで、万が一、樹脂部材に穴があいたり、損傷した場合の対策にもなっている。中空部材の場合、穴が開くと、そこから水が入り、水没する恐れがある。

 形状は、本体と足場のいずれも、平べったく、細長い。寸法は、本体が1514mm×400mm、足場が2056mm×600mmとなっている。

 平たく、細長い形状に設計したのは、輸送効率も考慮したためという。樹脂部材の輸送は、いわば空気を運んでいるようなもので、トラックへの積載効率がコストに大きく影響する。

 製造は外注している。グループの樹脂部材関連会社、イビデン樹脂(岐阜県揖斐郡池田町)のネットワークを活用して委託している。