年末の恒例企画として、今年も日経デジタルヘルス編集部では新たな1年を占う10大キーワードを選出しました。2019年を展望する10のキーワードを、五十音順で紹介していきます。

2019年を占う10大キーワード(五十音順)

1)AI診断

 2019年は、人工知能(AI)を用いて病気の状態を判断する「AI診断」が実用化に向けて動き出す(関連記事)。画像診断支援をはじめ、病理診断支援、さらに診察・鑑別診断支援の領域でそれぞれ研究開発が進んでおり、実用化に向けてAI関連のスタートアップと大手の診断機器メーカーとの協業も活発化している。

 AI診断時代の幕開けを告げるかのように、サイバネットシステムがAIを搭載した大腸内視鏡診断支援ソフトウエアの薬機法承認(クラスⅢ)を2018年12月6日に取得した。AIを搭載した診断支援機器では医療機器承認の第1号である。内視鏡による画像診断領域では、東京慈恵会医科大学とエルピクセルがAIによる大腸ポリープの自動認識・組織診断予測を開発しており、2019年度に国立がん研究センターと共同で有効性確認を進める予定(関連記事)。

 一方、診察・鑑別診断支援の領域でAIを活用する動きも出てきた。インフルエンザ診断支援機器の開発を進めるアイリスが、その一例だ(関連記事)。AIによる診断技術の開発では、こうしたスタートアップが存在感を高めている。臨床専門医、医療機器メーカーと協業しながら実用化に向けて臨床研究が加速するだろう。

2)科学的介護

 「未来投資戦略2017」に、自立支援・重度化防止に向けた科学的介護の実現という施策が盛り込まれて以来、介護分野のエビデンス構築に向けた検討が重ねられている。

 2019年は、その実現に向けて要となる介護の科学的分析のためのデータ収集・蓄積プラットフォーム(CHASE)の構築が本格化する。2020年度には本格稼働し、厚生労働省は2021年度の介護報酬改定で評価していく意向だ。

 介護分野では既に介護保険総合データベース(介護レセプトデータベース、2018年度より全保険者の情報を収集)、通所・訪問リハビリテーションの質の評価データ収集等事業(VISIT)によるデータ収集・蓄積が行われている。

 2019年度中に構築されるCHASEでは、栄養マネジメントや口腔(こうくう)機能向上などについて状態・介入・得られた効果などのデータを蓄積。3つのデータベースを統合的に解析し、要介護者への最適なサービス提供につなげていく。2019年はCHASEのデータ収集に向けた具体的な動きが活発化するだろう。