狙いどころの歯科領域

国立国際医療研究センター病院 歯科・口腔外科 診療科長の丸岡豊氏
国立国際医療研究センター病院 歯科・口腔外科 診療科長の丸岡豊氏
[画像のクリックで拡大表示]
 (2)の歯科は、多様な技術を持つものづくり企業にとって、狙いどころといえる領域だ。医学がサイエンスならば、歯科はテクノロジー。学生時代にそう教えられたと話すのが、国立国際医療研究センター病院 歯科・口腔外科 診療科長の丸岡豊氏。研究会に登壇した同氏は「機械や材料についていける人になれという意味だったのだろう」と振り返る。

 実際、歯科口腔外科では、接着剤などの材料から歯科治療を行う器具などさまざまな技術に触れる機会があるという。こうした接着剤や材料、治療台などを作る企業はほとんどが中小企業だといい、「歯科は中小企業と仲が良い」と丸岡氏は語る。

 そんな歯科の領域で求められているのは、寝たきりの状態や人工呼吸器を装着した患者に対して歯科治療を行うための器具だという。シートで歯をきれいにする方法も検討され始めているが、「一番は水を使用したい」(丸岡氏)。

 日常の口腔ケアに関しても触れた。毎日使用する歯ブラシは、市販のものであればその寿命はせいぜい1カ月程度だが、日本人は長く使いがちだという。「無理に使うと歯をかえって傷つけてしまう」(丸岡氏)。舌の表面に苔状に付着する舌苔(ぜったい)を磨く舌ブラシも、「市販のものは舌を傷つけずに使用することは難しい」(丸岡氏)。個々人が正しく口腔ケアを行う器具を求めていると語った。