医療機器開発の経験が豊富な東京慈恵会医科大学の大木隆生氏(外科学講座 統括責任者・教授)は、「第2回NEXT医療機器開発シンポジウム」(主催:国立がん研究センター東病院、協賛:日本医療研究開発機構)で「日本の医療機器開発への提言」と題して講演した。「米国に比べて日本は起業家や投資家が少なく、医療機器開発のベンチャーが育ちにくい環境にある」との課題を示しながら、「まだ歴史が浅い分野で十分に挽回できる。将来は医療機器大国になる可能性がある」とエールを送った。

シンポジウムで講演する東京慈恵会医科大学の大木隆生氏
シンポジウムで講演する東京慈恵会医科大学の大木隆生氏
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 大木氏は米国でステントグラフトや脳梗塞予防デバイス、ワイヤレス大動脈瘤圧センサーなどの医療機器を次々と開発してきた。米国では医師のアイデアを具現化する起業家が豊富で、そこに医療系のファンドが資金を提供し、一定の成果を挙げると大手医療機器メーカーが買収する流れができているという。治験や承認の仕組みも整っている。

 米国の学会に多くの起業家が訪れ、医師に「何かアイデアがないか」と話しかけてくるエピソードを紹介したり、米国での医療機器開発に際して「崖から飛び降りなくてもアイデアを具現化できた」と話したりするなど、日本との違いを強調した。