「オンライン診療の導入で、禁煙治療の継続効果は1.5倍に」

メドレーの川田氏が臨床研究のデータ発表

2017/09/12 09:30
増田 克善=日経デジタルヘルス

 オンライン診療と対面診療を組み合わせた禁煙治療は、対面診療のみの治療と比べて約1.5倍の治療継続効果がある――。メドレーに勤務する医師である川田裕美氏は、「第17回 日本糖尿病情報学会年次学術集会」(2017年9月2~3日、佐賀市)において、このようなデータを発表した。

 このデータは、メドレーによるオンライン診療と対面診療を組み合わせた禁煙プログラムの臨床研究によるもの。同プログラムには、患者と医療機関、企業(保険者)が参画。企業(保険者)が禁煙に取り組もうとする社員を募集し、そのリストに基づいてメドレーが禁煙治療をオンラインで実施している提携医療機関に橋渡しすることで実施した。

 臨床研究の結果は自治医科大学 地域医療学センターの小谷和彦氏らと協力して論文化を進めているが、その中で冒頭のようなデータが出たという。具体的には、対面のみの禁煙外来群(3471人)とオンライン診療を組み合わせた禁煙プログラム群(227人)を比較すると、禁煙外来に4回以上通院した患者は、対面のみの場合が51%だったのに対し、オンライン診療を組み合わせた場合は75%だった。

オンライン診療を組み合わせた禁煙治療は継続率が向上する結果に
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 この結果について、川田氏は次のように語る。「そもそも対面のみの禁煙外来は、最後まで通院しきる人は半数に満たず、通院の負担やストレスから離脱する。オンライン診療と組み合わせると1.5倍程度の治療継続が可能という結果が得られた」。

「より注意を払って問診する傾向に」

 このほか川田氏は、「患者の情報取得」という観点から、対面診療とオンライン診療の違いを指摘した。具体的には、身体所見から得られる情報は、対面診療では制限はないが、オンライン診療では家族や訪問看護師などの助けがないと触診は困難。「それゆえ視診が極めて重要になる」(同氏)。一方、問診から得られる情報については、「オンライン診療の方は画面越しの診療になるため、集中することで対面よりもコミュニケーションが濃密になる傾向がみられる」(同氏)。

 つまり、オンライン診療では、身体所見から得られる情報が制限される反面、より注意を払って問診する傾向があるというわけだ。その点が、より効果的になる領域として、川田氏は「代表例は、今回研究で取り上げた禁煙外来だと考えている」とした。

 なお、今回のオンライン診療と対面診療を組み合わせた禁煙プログラムは、「禁煙治療のための標準手順書」(日本循環器学会・日本肺癌学会・日本癌学会・日本呼吸器学会承認)に沿って行ったが、呼気の一酸化炭素測定については実施していない。「オンライン診療で不足してしまう項目は呼気の一酸化炭素測定のみ。それ以外については対面診療と同等、もしくはそれ以上の診療の効果があると考えている」(川田氏)。

糖尿病領域におけるオンライン診療のエビデンス

メドレーの川田氏
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 禁煙は、今回の学会のテーマである糖尿病の治療や予防にも関連してくる。喫煙によって血糖の上昇やインスリン抵抗性を増大させることが知られおり、さらに心血管疾患や腎症などの合併症のリスクを高めるからだ。

 オンライン診療は、糖尿病などの生活習慣病の治療に関しても臨床適用されることへの期待が高まっている(関連記事)。先行する海外では、関連する論文が2000件以上発表されているという。特に、糖尿病領域におけるエビデンスとして、川田氏は2016年に発表された対面診療とオンライン診療におけるHbA1cの効果測定を実施した論文を提示(Diabetes Res Cli Pract,2016「Dose telemedicine improve treatment outcomes for diabetes? A meta-analysis of results 55 randomized controlled trials」)。「オンライン診療を受けた糖尿病患者は、従来のケア(非オンライン診療)に対して有意なHbA1c改善効果があったことが示されている」(同氏)とした。

 糖尿病や高血圧、高脂血症などの患者は、自覚症状がないと自発的な通院がなされずに重症化するケースが多い。「国民健康栄養調査のデータによると、高血圧患者の6割、糖尿病患者の4割が健康診断などで異常を指摘されても、未治療で放置されている現状がある。オンライン診療を組み合わせることにより、通院の負担や受診時間が確保し、未治療状態の改善、治療継続を促進できると考えている」(川田氏)と述べた。