メドケア

 4本目に登壇したメドケア 代表取締役CEO明石英之氏は、現役の心臓外科医。ここまでの4本のピッチのうち3つのスタートアップを現役医師が運営しているという事実が、デジタル時代のヘルスケアサービスを取り巻く新たなうねりをうかがわせる。

メドケア 代表取締役CEO 明石英之氏
メドケア 代表取締役CEO 明石英之氏
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 メドケアが提供する「DoctorsCrowd(ドクターズクラウド)」は前の2本と異なり、初回の対面診療を必須とする遠隔診療・遠隔生活習慣改善サービスだ。対象を生活習慣病に特化し、マネタイズの対象を健康保険組合に絞った。「生活改善によって、組合員の不要な医療を減らす。結果的に、健保組合に対する医療費削減ソリューションとなる」(明石氏)。

 強みは月間最大で9回にも及ぶ治療介入である。「初回は対面診療、2回目以降は対面診療と遠隔診療を月1回程度組み合わせる。その間に管理栄養士や保健師による栄養指導、生活指導を月に最大で8回実施する。糖尿病に関しては早期に指導を行うことで行動変容が現れるといったエビデンスもある。1回と9回の差は歴然だ」(明石氏)。指導ツールにはビデオチャットやテキストを用いる。2016年8月には専用アプリのベータ版を公開する。

 さらなるフォローアップとして、ウエアラブルデバイスを利用者に無償貸与。日常的に脈拍数、活動量、睡眠量を収集し、診療に役立てるとする。「日常のデータを取得することで、対面診療に匹敵するきめ細やかさを提供できるのではないか」(明石氏)。

 現時点で、対面診療は東京・目白のクリニック1カ所のみで行う。「全国展開は考えているのか?」との質問に対しては、状況に応じて拠点追加をしていくとのコメントにとどめた。既存の医療施設とバッティングし、「見方によっては破壊的なビジネスモデルになる」(明石氏)との懸念があるからだ。これらは、遠隔診療サービスが成熟するに従って解決していかねばならない課題とも言えるだろう。