2016年春、テルモがある画期的な治療技術を世に問う見込みだ。「ハートシート」――。重症の心不全患者の心臓に貼り付けて心機能を回復させる、ヒト(自己)骨格筋由来の細胞シートである。2015年9月に、製造販売承認を取得した。

 ハートシートでは、患者の大腿部から筋肉組織を採取し、組織内に含まれる細胞を培養してシート状にする。このシートを患者の心臓表面に移植することで、心機能を回復させる。自家細胞を使うため、拒絶反応がないことが大きな特徴だ。

登壇した澤氏
登壇した澤氏
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 ハートシートの開発と臨床研究を主導してきたのが、大阪大学大学院 医学系研究科 心臓血管外科 教授(医学部長)の澤芳樹氏。約15年がかりの開発が実を結んだ。