日経デジタルヘルスが2018年2月5日に開催した『日経デジタルヘルス年鑑2018』発行記念イベント「デジタルヘルスベンチャー祭り2018」では、IF Lifetime Ventures 代表パートナー/インキュベイトファンド アソシエイトの木村亮介氏が登壇。「VCが見る国内デジタルヘルス業界の現状と展望」と題し、日本のデジタルヘルス業界の動向と、ベンチャーキャピタリストの立場からのヘルスケアベンチャーへの要望を語った。

IF Lifetime Venturesの木村亮介氏(写真:加藤康、以下同)
IF Lifetime Venturesの木村亮介氏(写真:加藤康、以下同)
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投資対象が「課題解決領域」へシフト

 木村氏は、アーリーステージに特化したベンチャーキャピタル(VC)であるインキュベイトファンドのアソシエイトを経て、2017年2月にIF Lifetime Venturesを設立。現在の投資先8社のうち3社がデジタルヘルス関連という。

 木村氏の定義によれば、デジタルヘルスとは「デジタルテクノロジーを活用し、時間・場所・処理能力の制約を乗り越えてヘルスケアの課題解決を目指すサービスやソリューションの総称」。従来はトレードオフの関係になりがちだったコスト、クオリティー、アクセスを両立する手段になると指摘する。日本ではここ2~3年でデジタルヘルス分野のベンチャーが急速に増えているものの、「産業としてはまだ勃興期」(木村氏)にある。

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 デジタルヘルス分野が盛り上がりを見せている背景として木村氏は、少子高齢化など社会課題の高まり、モバイル技術などの進化、そして産業界からの期待の高まりを挙げた。

 産業界からの期待の高まりを反映して、最近はヘルスケアベンチャーの調達額を上回る資金がVCに集まるようになった。しかも、VCの投資先が「ゲームなど純粋なインターネットの世界から、既存業界の課題をデジタルで解決しようとする領域へ移っている」(木村氏)こともあって、特に2015年以降はデジタルヘルス領域に特化した投資が増えた。