デジタルヘルスの領域に属する、テクノロジーを活用した医療行為への保険適用が幾つか決定した2016年度診療報酬改定(関連記事)。今回の改定では、情報通信技術(ICT)を活用した医療連携や医療データの収集・利活用に関する算定内容についても、新たに盛り込まれた。

 これは、前回の改定の際に「答申書附帯意見」として、「ICTを活用した医療情報の共有の評価の在り方を検討すること」と明記されたことを受けたものだ。特に、地域医療情報連携を推進してきた医療関係者や医療IT業界にとっては念願の診療報酬算定と言える。

 今回、診療報酬改定に盛り込まれた算定内容の1つが、診療情報提供書などの電子的な送受である。診療情報提供書や訪問看護指示書、服薬情報提供書などの文書について、従来は記名・押印した紙の文書を発行した際に算定していたものを、電子的に送受した場合でも算定対象とした。

 ただし、要件が2つある。(1)文書に対して保健医療福祉分野の公開鍵基盤(HPKI)による電子署名を施すこと、(2)ネットワークや電子媒体などを通じて他の医療機関に提供する際に厚生労働省「医療情報システムの安全管理ガイドライン」を遵守して安全な通信環境を確保すること、である。つまり、HPKIによる電子署名を施した診療情報提供書などを、地域医療連携ネットワークなどを介して提供した場合に算定が認められるというわけだ。