600項目もの住民健康診断「岩木健康増進プロジェクト」で得られたビッグデータを活用し、健康づくりを青森県全域で社会実装していく――。こうした取り組みを進めているのが、弘前大学COI研究推進機構だ(関連記事)。そのお膝元となる弘前市周辺では、企業や学校などが独自の健康への取り組みを進めている。

 2016年1月29日に弘前大学COI研究推進機構が開催した「弘前大学COI ヘルシーエイジング イノベーションサミット2016」では、こうした取り組みの概要を企業や学校などがそれぞれ報告した。

不規則なタクシー乗務だからこそ

 弘前市のタクシー会社である北星交通では、独自の健康診断を取り入れるなど、健康経営を進めている。同社 代表取締役の下山清司氏は、健康経営に取り組んだ理由を、次のように話す。「一般に、タクシー業界は他の業界に比べて平均年齢が高い。当社も乗務員250人の平均年齢が58歳と高い。また、タクシー乗務は夜勤などがあり不規則で、長時間ほぼ座りっぱなしで運動不足になりがちだ。一方で、お客様の命を預かる仕事である以上、タクシー運転手は常に健康でいなければならない」。

北星交通 代表取締役の下山清司氏
北星交通 代表取締役の下山清司氏
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 そこで、2015年7月に「健康宣言」を発表。独自の「北星版健診」や出勤時の血圧・体重の測定、点呼時のストレッチなどを導入した。タクシー会社が健康経営を宣言するのは全国でも珍しい事例という。北星版健診では、体組成や骨密度の測定、立ち上がりテストなどを実施。3日間で従業員全員が受診したといい、今後も継続する。

 また、弘前大学が開く半年間の健康増進リーダー養成講座に社員2人を参加させ、職場での健康づくりの推進役を担わせている。「当社の社訓は凡事徹底。当たり前のことを徹底的にやる。健康づくりも徹底して、全社員にいつまでも健康で活躍してもらいたい」(下山氏)。