「ネットは信頼性乏しい」は必ずしも真ならず

 これらの成果に関して注目できる点は大きく2つある。第1に、唾液を使った解析でも、血液を使った従来の解析と同様の結果が得られたこと。唾液を採取するという非侵襲の方法でも、十分に精度の高い遺伝子情報が得られる可能性が示された。

 第2に、ウェブアンケート、すなわちインターネットを通じた問診の信頼性の高さを示したことだ。データ品質をテーマとする1件目の研究では、遺伝子情報から性別を特定したが、その結果はウェブアンケートでの回答とよく一致した。

 2件目の研究で利用したBMIは、ウェブアンケートにおける身長と体重から算出したもので、実測値ではない。にもかかわらず、BMIとその関連SNPの相関はきれいに出た。モニターが申告した身長と体重が、精度の高いものであることを裏付けた形だ。

 しばしば「信頼性に乏しい」とされるウェブアンケートだが、コホート研究の調査材料としては信頼に足る可能性がある。「遺伝子検査」という、自身の健康や疾病に深くかかわるテーマでは、検査結果の正確さを求めて正直な申告をする可能性が高いわけだ。