CKD(慢性腎臓病)――。国内に推定1300万人、日本人成人の8人に1人が罹患しているとされる疾患だ。脳卒中や心筋梗塞などのリスクを高めるとともに、重症化して腎不全に陥ると人工透析が必要にもなる。国民病ともいえる疾患だが、糖尿病や高血圧症、がんなどに比べるとそのリスクに光が当てられる機会は少ない。

 KDDIは2016年11月10日、そんな状況に一石を投じるサービスを開始した。自己採血キットによる血液検査とWebサービスを組み合わせたセルフ健康チェックサービス「スマホ de ドック」に、腎機能の低下を早期に発見するための判定指標を新たに加えた。腎臓の血液ろ過機能の指標である「eGFR(推算糸球体濾過量)」がそれだ。従来からスマホ de ドックの判定項目の1つとしてきた「クレアチニン」に、年齢と性別で決まる係数を掛けることで算出される値である。

KDDIで「スマホ de ドック」を担当する、同社 新規ビジネス推進本部 戦略推進部 担当部長の岩崎昭夫氏(向かって左)と、戦略推進部 ヘルスケアグループ 主任の時田真奈氏
KDDIで「スマホ de ドック」を担当する、同社 新規ビジネス推進本部 戦略推進部 担当部長の岩崎昭夫氏(向かって左)と、戦略推進部 ヘルスケアグループ 主任の時田真奈氏
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 新指標の導入のきっかけは「高額な医療費につながるなど、CKDが重症化した時のリスクの大きさを懸念する声を多くの自治体から受け取った」(KDDI 新規ビジネス推進本部 戦略推進部 担当部長の岩崎昭夫氏)こと。CKDはかなり重症化するまで自覚症状に乏しく、重症化してからでは機能を回復する有効な手立てがない。

 脳卒中や心筋梗塞を発症したり、人工透析が必要になったりすれば、高額の医療費につながる。人工透析にかかる医療費は、患者1人当たりざっと年間500万~600万円だ。