医療機器メーカーのホーマーイオン研究所は2018年10月10日、「B-SES」(ベルト電極式骨格筋電気刺激法)を用いた医療機器の報道機関向け説明会を開催した。B-SESはベルト状の電極を腰や膝上、足首に巻き付けて筒状に電気を流し、下肢すべての筋肉を収縮させる手法。下肢には体内の筋肉の約70%が集まっており、下肢を動かすことで効率的な運動ができる。従来のパッドを用いる電気刺激法に比べて電極の面積が大きいため、1カ所あたりの電位分布を分散して痛みを少なくできる特徴がある。

ベルト状の電極を腰や膝上、足首に巻き付けて筒状に電気を流す
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ベルト状の電極を腰や膝上、足首に巻き付けて筒状に電気を流す

 「電気刺激というと通販番組などで紹介されるEMS製品が知られており、医療関係者には懐疑的な人も多い」――。同社 専務取締役の神谷志郎氏は、B-SES機器が医療機器として認可を受けた当初の苦労を語った。

 その後、医療機関と共同で治療実績を積み重ねエビデンスを示して導入を増やしてきた。ギランバレー症候群患者が6カ月利用して、足の筋肉が1.5倍以上に増加した例もあるという。寝たきりの患者の運動の代替などを目的に、2018年9月時点で682の医療施設が導入している。

 682の導入施設のうち、約41%がリハビリ用途になる。関節痛などの症状を持つ高齢者のほか、重度の心疾患や呼吸器疾患、ICU、整形外科の手術直後などの患者の筋肉の萎縮予防や強化に有効だとする。同社によれば、医師からは「入院期間を短くでき、医療費の削減にも効果がある」などの評価を得ているという。

■変更履歴
ホーマーイオン研究所から説明会資料に誤りがあったと申し入れがあり、第3段落の「筋萎縮性側索硬化症患者」を「ギランバレー症候群患者」に修正しました。[2020/10/05 11:15]