参加施設向けのデータ入力システムも提供

 JIPADで収集するデータ項目は、入室時データ、在室中データ、成人重症度スコア、小児重症度スコア、退室時・退院時データの5領域、約100項目。入室時データは入室経路や区分、主病名、慢性疾患の有無など、在室中データは動脈ラインや気管切開、人工呼吸(開始・終了時間)などの治療内容、重症度スコアは入室24時間以内のAPACHE II、 APACHE III、SAPS2に対応した項目の数値である。

 重症度スコアは、集中治療室の入室患者の重症度を客観的に評価する尺度で、24時間以内に測定された生理学的パラメータによって患者の重症度を判定でき、さらに予測死亡率を推定するために用いる。主に米国などで利用されている重症度スコアがAPACHE(Acute Physiology and Chronic Health Evaluation)で、SAPS(Simplified Acute Physiology Score)は欧州などで利用されている。

 JIPADのプラットフォームとして採用されたのが、FileMakerだ。「低コストでシステムを構築できるのがFileMakerの大きな特徴の1つ。各施設の症例登録システムをFileMakerで構築すれば、病院情報システムからデータを収集する仕組みを比較的容易に構築できるのではと考えた」(橋本氏)ことが採用の主な理由だ。京都府立医科大学では、2008年にFileMakerによる循環器内科用のデータベースを構築した経験があり、FileMakerのメリットをよく理解していたという。

 JIPADは、データセンター側のICU施設・症例データベースシステムである「JIPAD Global」と、各施設のインターネット接続環境にあるJIPADデータ入力システムである「JIPAD Local」、各施設の重症患者管理部門システムや電子カルテシステムのデータベースから直接データを取得する際に利用する「JIPAD Internal」から構成されている。

JIPADの登録・解析の概要図
JIPADの登録・解析の概要図
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